2年前、日経の寄稿欄でシンクタンクの研究員が「シングルマザー支援を充実せよ」と提言していた。

 出生率が上がらない理由は、「子どもを産んだら大変だ」との認識にある。なら、まず結婚や、その前段の出会いを支援する前に、予定外に妊娠してしまって、選択を迷っている人が産み育てる環境を整えた方が命も救えるし、結果的に社会全体の育児支援にもなる。という内容だった。

 彼はそのために、いくつかの具体的な提言を連ねていた。当事者から見ても非常に的を得た内容だったので、思わず所属企業を通じて「どんどん言ってくれ」とメールを送った。

 しばらくして、彼から返信が来た。
 「シングルマザー支援を公の場で言うと、家族制度を壊す気か、と非難の嵐です。初めて賛同の意見を頂きました」。

 シンクタンクの1研究員の提言でさえ、こうなのだから、行政機関がやってしまったら、それはとんでもない反響を起こしそうだ。

 でも、建前として
 胎児はみな、望まれて生を受けるべきである。
 出自によって差別を受けるべきではない。

 そして現実論としても
 行政が結婚を支援して、効果が上がった例は聞かない。
 結婚しても、即出生率向上に結びつくわけではない。

 中絶しないで済むような環境を模索する道を作った福島県は、生めよ増やせよと男女を急き立て受精させることを狙う他の組織より、少子化に正面から取り組んでいると言えるのではないか。

 勿論、子育ては長丁場だ。「自分で育てずにラッキー」と、事の重大さを考えず産みっぱなしになる母親も出てくるだろう。
 県庁の中でも、当然そういう指摘、議論が噴出したに違いない。覚悟を決めて、独自の少子化対策に踏み出した福島県を、息長く、ウオッチしていきたい。
 

 

コメント

nophoto
はちみつ
2006年2月26日1:31

こういった動きは、全国に広まってほしいですね。もう20年位前から、「小さな命を守る会」っていうのがあるけど、県がそれを支援してくれるのは、とても良いことだと思います。

すいれん
やよ坊
2006年2月26日13:19

シングルマザー支援を、未婚で産める環境を! ってあたしめちゃ賛成です。シングルマザー時代は楽しかった、なんていうといま苦労している人にのーてんきね、と石ぶつけられるかもしれないですが、いやほんとうに。友だちもたくさんいて、恋人もいて、、、。家族制度はもう内部から崩壊中・・いやあたしの場合は、といったほうがいいかしら。
お体大切にしてくださいねー。

おπレディ
おπレディ
2006年2月26日22:45

>はちみつさん
そうですね。私も妊娠して上司などに報告した折、「で、どうするのか」というような反応ばかりで。
初めて、おめでとうと言ってもらえたのは、たぶん10人目くらいの報告でした。
ほんと、全ての子が、祝福されて生まれる世の中でありますように

>やよ坊さん
もう、国が家族の形をパッケージ化する時代じゃないんでしょうね。高度成長期は、日本全体の目標があって、団地も、はい3DKとかやってればよかったんでしょうけど。

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索