あの子誰の子

2006年3月31日 日常
 祖父の通夜、葬儀。一通り終えました。

 実家に仏壇があるため、お参りの行為には馴染みがある息子。

 葬儀でも皆の真似をしたがって、祖父の側に行き、線香をあげ、叫ぶ。
 「おじいちゃん、ちゃんと寝たか。
 蒼くんは2歳になりました。蒼くんは2歳になりました。蒼くんは2歳になりました」

 高齢者ばかりの場で幼子が手を合わせている様子は、空気を和ませるはずなのだが・・・。

 「ところであの子誰の子?」

 うちはとにかく親戚付き合いが薄い。
 母方は、遺産をめぐり裁判。父方も子の出来をめぐり、足の引っ張り合い。
 父は、今では世間体<孫かわいいなのだが、未婚の母子は弱み、との考えを拭い去れなかった母が、わが息子の存在を表に出すことを避けてきた。

 しかし、昨年の夏に母方の祖母が亡くなり、母も「えーい、ままよ」と覚悟を決めた。家族総出で10年ぶりの対馬へ。

 すると、訪れた先も、末娘が勘当同然で子どもを産んでいたという事情が判明。
 互いに「みなまで言うな」という空気が醸し出され、母と伯父は積年の仲たがいもどこへやら・・・となったのである。

 案ずるより産むが易し。母も、それで気が楽になったようで、今回は割りと堂々としていた。

 「さなぢさん、今日は旦那は?」
 「あ、私結婚してません。」
 「へ?じゃあ、あの子誰の子?」
 「私の子です。」

 言葉を失う親戚に割って入ってくる。
 「娘は男より仕事を選んだんです。家も買ったのです」
 自立、を連呼するほど、まだまだ母が踏ん切りがついていないことが、かえって強調されてしまうのだが、それは言うまい。

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